狐と嫁と溺愛と
高島
10



久しぶりにやってきた学校は、迫り来るテストの直前。



勉強なんて全くしていなかったあたしは、とりあえずうろたえる。



「もうムリだって」

「そ、そんなこと言わないでよぉ〜…。3年生に上がれなかったらどうすればいいの⁉︎」



誕生日プレゼントをくれた春乃に、冷たくそう言われてしまった。



あっ、カワイイポーチ‼︎



「めっちゃ嬉しい‼︎ありがとう」

「お揃いなんだよ〜。あたしの好みで選んじゃったけど」



春乃の好きな雪の結晶の柄。



冬っぽいけど、ずっと使いたいな。



「で、いつ会わせてくれるの?大河さんに」

「予定聞いておきます…」

「楽しみだなぁ〜。いい男紹介してくれないかな?」

「大河さんの知り合いなんてきっと年上だよ?」

「おじ様好きのあたしに言ってるのかしら?」



そうでした。



春乃はお父さんの大ファンだった…。



でも、とりあえずは目の前のテストに集中しなきゃ…。



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