狐と嫁と溺愛と
春乃はお母さんとちゃんと話すと言って帰って行き、残されたのはあたしと大河さんと、秋銀ちゃん。



「春乃は…大丈夫かな…?」

「大丈夫だろ。号泣してたけど、納得はしてるようだった」

「そっか…」

「やべっ、仕事に戻んねぇと」

「大河さんっ‼︎」

「ん?」

「今日は早い…?」

「寂しいのか?」

「別に…寂しくないけど…」



クシャクシャっと頭を撫でられた。



寂しいよ、本当は。



最近一緒に寝てないし、同じ時間を過ごしてない。



お父さんも忙しいらしく、しばらく姿を見ていない。



「もうすぐ夏休みだな」

「うん…?」

「夏休みになったら志鬼が来る。仲良くやれよ?」

「志鬼くん、本当に来るんだ…」

「あぁ、毎日そのことで騒ぎまくってるってよ」

「そっか」

「しばらく早く帰って来るのはムリだ。ごめんな?」



寂しいけど、ワガママなんか言っちゃダメだ。



大河さんは頑張ってるんだから。



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