カレシとカノジョのヒミツごと
ワタシとカレシの秘密
私の名前は、佐野琴葉。

今年で16になる、現在進行形のまだピッチピチな高校二年生。

私には、佐伯佑都というカレシがいる。

そしてもう一人、年下だけどしっかり者の恋人がいる。

名前は、佐藤戒。

戒は私の一つ下の後輩で、佑都は私と同い年。

そして、佑都には同い年のカノジョがもう一人いる。

でも、別に私も佑都も浮気をしている訳じゃない。

ただ、互いに互いの恋人を許せなくてこうなってしまっただけ。


事の発端は、私が戒を一緒に帰る為に呼びに行った時のこと。

私はいつもと同じ時間に戒を呼びに行った。

戒と同じクラスの人に聞くと、戒はまだ教室にいると言うから教室を覗いてみた。

皆部活に行ってしまったのか、教室はガランとしていた。

そして、教卓の方を見る。

その瞬間、私は見てしまった。

戒と可愛い女の子がキスをするところを。

しかもそのキスは、フレンチキスではなく、ディープキスだった。

互いが互いを貪るかのような情熱的なキス。

暫くの間私の足は動けずにいた。

動けずにいる間は、まるで何時間も経ったかのように感じた。

戒とその女の子は、数秒間キスを交わした後、まるで名残惜しいかのようにゆっくりと唇を離した。

そして、二人が互いを見つめ合うと、まるで恋人同士かのように甘い空気に教室中が包まれた。

でも、私はそんな二人を見て、その愛し合っているところを見て、私の中にある、途轍もなくどす黒い感情が出てくるのを感じた。

その途端、私は走り出した。

私はまだ重い足をどうにか動かして、その場を去った。

走り去った時に足音がしてしまっただろうか……?

あの二人に見られてしまっていたのではないか……?

そんな考えが頭を過ぎる。

だが、今はそれどころではない。

あの二人の事を早く。

一刻も早く忘れたかった………

いつの間にこんな所へ来てしまったんだろうか……?

私は、無意識の内に学校の近くの森へ入ってしまったようだ。

兎も角、直ぐに此処から離れなければ……

此処には幽霊が出るだの、怪奇現象が起こるだのという、ありきたりな噂がある。

だが、私はそんなありきたりなホラー話でも怖いと思ってしまう程の極度の怖がりだ。


良く言えば天然。

悪く言えばヘタレ。

そんな私がこの森にいて、精神が大丈夫なものか。

こんな所さっさと出て、家に帰ろう。

とは思えど、此処は森。

道なんてあるようでない。

しかも、こんな木が沢山ある所に住む人もいない訳で……

遠回しに言ったけれど、単刀直入に言おう。


迷った。


「だ、誰かぁ〜…」

ついつい、こんな弱気な声が出てしまう。

その時、近くの茂みから「ガサガサッ」と聞こえた。

私は凄く怖くなって、意識を手放した――
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