水平線にとどく唄
優しい竜
 ポカポカあたたかくて気持ちがいい午後の海。
 クウは波に揺られながら、のんびりと海藻を食べていました。

 クウは優竜(ゆうりゅう)という大きなトカゲの仲間です。
 みなさんが知っている恐竜ともいっていいでしょう。
 緑色の体は、私たち人間が見上げるほどの大きさです。
 クウたちは長い首を曲げて海に顔を入れながら海藻を食べます。
 たくさん食べて体を大きくし、大人になったら子どもたちを守るのです。

 そんなクウたちは争うことが好きではありません。
 喧嘩もせず、みんなで助け合って過ごしています。
 そのため優しい竜。優竜と名づけられていました。

 クウは子どもの優竜です。名前はお父さんに付けてもらいました。
 生まれた時に「クウクウ」と何度も鳴いたからだそうです。
 名前がクウという鳴き声のため、友だちからは弱虫クウと呼ばれてしまっています。
 ――どうしてそんな名前をお父さんはつけたのだろう。
 そう考えるクウは、自分の名前があまり好きではありません。

 お父さんの名前はガオウ。強そうな名前のとおり、優竜のリーダーで仲間たちからも信頼されています。
 強いお父さんとは違い、弱虫なクウ。クウはお父さんのような強い優竜になりたいなと、いつも思っていました。
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