水平線にとどく唄
水平線にとどく唄
 クウは自慢の尾を振り上げると、海面を思いっきり叩きました。
 そのちからで大きな波ができたかと思うと、海賊たちの船が揺れます。
 けれど、海賊たちもクウ相手に黙っているわけがありません。
 海賊たちがクウにむかって、魚を突くモリを構えます。
 それはクウのお母さんが言っていた刃物でした。

 クウは、それを見て慌てて海に潜ると、海賊たちの乗る大きな船の下に逃げました。
 先程、ひっくり返した小船と同じように、大きな船もひっくり返そうと思ったのです。
 けれど、どんなに強く押しても船は動きませんでした。
 クウは子どもなので、まだまだ力が足りないのです。

 ――お父さんなら、ひっくり返すことができるのに。
 クウは海賊たちをこらしめる違う方法を考えることにしました。
 その時です。クウの体に何かが絡みつきました。
 慌てて解こうとしますが、ますます絡みついてきます。
 優竜は人間と同じように空気を吸わなければ死んでしまう生き物です。
 それなので、そのまま浮き上がるしかありませんでした。

 途端に、船の上から海賊たちの笑い声が聞こえてきます。
「よし、ようやく捕まえたぞ」
「やはり網が一番よかったな」
 海賊たちのいう網は、とても硬く、クウが噛みついても切れそうにありません。
 また、絡みついてくるので、逃げようとしても逃げることができませんでした。

 悔しくて暴れるクウの目の前で、海賊たちが次々と小船に乗って島に行ってしまいます。
 ――シャロンも僕みたいに捕まっちゃう。
 優しいシャロンのことを思って、クウは「クオーウ」と吠えることしかできませんでした。
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