水平線にとどく唄
 ポカポカあたたかくて気持ちがいい午後の海。
 クウは大切な友だちシャロンに会いに島まで泳いでいきます。
 もう、お父さんもお母さんもシャロンに会ってはいけないとはいいません。
 悪い人間だった海賊が捕まってからは、クウの仲間たちも島の人間を、こわがることはなくなりました。

 そして、クウの友だちも、もうクウのことを泣き虫クウとは呼びません。
 勇気をだしてシャロンを助けようとしたクウを、すごいなといって今でも褒めてくれます。
 クウはその度に嬉しいような恥ずかしいような気がして、背中がむずむずします。

 ――だって、シャロンは僕の大切な友だち。だから、助けようとしただけなんだよ。
 まだまだお父さんのように大きく強くなれないクウですが、いつかお父さんよりも強い優竜になって、みんなを守ることができるといいなと思って頑張っています。
 ――今日もお父さんと同じ吠え声を出せるように練習するんだ。

 クウが島に着くと、シャロンの歌声が聞こえてきます。クウはいつものように島のお姫さまであるシャロンと話をするのです。
 優竜と人間。言葉が通じなくても、ふたりは大切な友だちです。
 クウとシャロンのふたりは、会うと歌を歌います。
 それはクウがシャロンとはじめて会った時に、シャロンが歌っていた歌。
 むかし、シャロンのお母さんが、クウのお父さんと一緒に歌っていた歌だそうです。

 クウとシャロンの歌は島中に響き渡り、その歌声に合わせて島の人間たちも歌います。
 歌声は潮風にのって優竜の島までとどき、島の優竜たちもその歌に合わせて歌うのです。
 優竜と人間の歌は水平線にとどきます。
 そして、その歌はクウとシャロンの友情物語とともに、いつまでも語り継がれていくのです。


                   水平線にとどく唄  <おわり>
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