冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


「夏希さん?夏希さん?」
手を繋いだままの進藤が私を呼ぶ。



「夏希さん、どうしたんですか?ぼーっとしちゃって。」



「ん…あ、大丈夫。何でもないから。
って、なんで手を繋いだままなのよ。」



「遅っ!
これ、いつ突っ込まれるかと思ってたんですよ。ま、いいですけど。」


そう言って進藤は笑いながら手を離していった。
なぜか私は離れていった手を少しだけ淋しく感じてしまう。


買い物している時もどこかで成二たちに遭遇してしまうんじゃないだろうかと落ち着かない。


成二との偶然の再開、隣には当たり前のように玲奈がいた。
進藤が一緒にいてくれて良かった。
心からそう思った。
できれば、もう少しだけ進藤の手のぬくもりに触れていたかった。
そうすれば、この不安もなくなるかもしれない。


そんなことが頭の中を過っていると


「10分100円でどうですか?」

と、突然、進藤が私の手を握って来た。



「えっ?なにが?」



「10分100円で僕と手が繋げるってことですよ。」



「はい?私が払うの?貰いたいくらいだよ。」



「えー。マジっすか?逆?」

と笑いながら、進藤は私の手を離す事はしなかった。
私にはとてもありがたかった。
もし成二たちと遭遇してしまっても大丈夫な気がしたから。

幸いなことに、その後、成二たちと遭遇することもなく、買い出しは終ったけれど。







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