冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!

「何、考えてるんですか?
いつまでも眺めていたいのは山々なんですけど、いい加減、洋服を着てくれないと、また襲っちゃいそうです。」

と進藤はイタズラっぽい目で私をみつめた。



「ダメダメ、もう明るいし …それに…」

と、言葉を濁していると


「それに?」

と進藤がクイっと私の顎を右手で持ち上げる。


「それに…」

私が次の言葉を放つのをためらっていると、


「離れられなくなっちゃう?」

意地悪に言い放ち、俯きかけた私の顎をさらに持ち上げてキスをしてきた。


昨夜のような濃厚なキスではなく、そっと触れるだけのキス。
それでも胸がキュンとなる。
しかし、そのキスは余韻に浸ることもなく進藤の唇が離れていく。



「残念…時間切れ。
続けていたいけど、僕、これから仕事なんです。」



「えっ?休日出勤するの?」



「はい。
あっ、兄のデザイン会社の仕事にですけど。
正確には義理の兄。
姉貴の旦那さんの会社で忙しい時は勉強がてら手伝いをしてるんです。」



「そうなんだ・・・」

進藤の新しい一面が次々と現れてくる。
デザイン関係の仕事を手伝ってるなんて初耳だった。



「夏希さんの支度ができたら送ります。」

メガネをかけ直した進藤が私を愛おしそうに目を細めている。
そして手を伸ばし、私の頬をゆっくり撫でた。


なんだかこう言う幸せ感、久しぶりかもしれない。
けれど、まだどこか手放しでは喜べない自分もいる。
成二との別れを引きずっているのかもしれない。
まだ新しい恋を受け入れる心の準備ができていないのかもしれない。


「仕事でしょ?電車で帰れるから。」


「出勤時間は決まってないので大丈夫です。」


「でも…」


「僕が少しでも長く夏希さんと一緒にいたいんですけど!」

と却下された。
ここは素直に従っておこう。
って、進藤ってこんなキャラだったっけ?
どれが本当の進藤なんだろう?







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