冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


進藤が帰った後、部屋の中は急に殺風景に見えた。
何も変わっていないのに、進藤と過ごした時間が部屋の雰囲気までも変えてくれていた。


昨日も家を空けていたので、週末にまとめてやりたかった掃除や洗濯といった家事を一斉に片づけた。
するとほどなく、良い時間になったので、私はとりあえず一泊できる支度と、出勤用の服を1着忍ばせて荷造りをした。
今日は何を着ていこうかな?ラフな格好でいいかな?と、少し襟刳りが深く空いているTシャツを選ぶ。
それにジーンズでいいかなと思って着替えようとした矢先だった。


「あっ!」


鏡に写る自分の姿に唖然とした。
さっきまでわからなかったのは、時間が経って鬱血の色が濃くなったからだろう。首筋に数カ所、胸元にも・・・。
赤く残った恥ずかしい跡を指でなぞってみる。
進藤のモノと言われているようで、どきどきしてしまう。


けど、どうやって隠そう。
明日まで消えることはないだろう。
梅雨入りした関東にタートルネックを着るほど季節はずれなものはない。

ストールしか方法がないか。
なるべく襟元の開いてないシャツにして、ストールを巻くことにした。



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