俺様主人の拾われペット





(…もう一週間も経つのに
全然この生活に慣れねぇ…。)




俺はデスクに向かいながら
頬杖をついて、そんなことを思う。


朝は変わらず一緒に飯食ってる。

…恋人になったからと言って
あいつが喜んで隣の席に戻ってくるわけではなかったが。


相変わらず向かい合わせに座りながらの食事。



まぁでも

やっぱり意識はするもので
あっちは顔を赤くしながら

恥ずかしそうに黙って食事をしていた。



…おかげで俺も意識して
会話は前より断然減っている。

でも幸せだ。





(…くそっ、手につかないとか言ってる場合じゃねぇ。
…仕事するか…。)





俺はそう気分を変えて
またパソコンと睨めっこする。


幸せすぎて何も手に付かない状態を
何とかここまでモチベーションを上げるのには

かなりのものが必要だった気がする。




…はぁ、会いたい。






-----コンコンッ






そんなことを考えながら
仕事をしていれば

不意に部屋の扉にノックがした。




(……?)




いつもならそこで
誰だ、と返事をするのだが


何だかこの時は、一瞬変な感じがした。




…こんな中途半端な時間に
用があるなんて妙だ。


会議の報告なら
午後に来るはずだし

親父ならノックもせずとも入ってくる。




…来客か?





(…嫌な予感がする。)





変な感じを残したまま
俺が「誰だ?」と返事をすれば


秘書の者の声がして
中に通す。






「…失礼します。
仁美様、お客様がお見えです。」







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