サヨナラの向こう側
「え・・・」


「好きだよ、千広が」


「マジで?」


目を見開いて、驚いてる。




私も、慶とちゃんとお別れしてから言おうと思ってたけど。


急に目の前に、好きな人が現れて。


気持ちをすぐに伝えたくなっちゃったんだ。




「でも、まだ慶とちゃんと話してないから、待ってて」


「う、うん、待つよ」



「そうだ、千広に聞きたかったんだけど、私を好きなまま、恵未とつきあったの?」


「あ、いや、それはその・・・」


しどろもどろになってる千広を見てたら、少しイジワルしたくなった。


「恵未とキスしたんでしょ?」


「あ、いや、あれは、なんつーか、事故っていうか」


「あ、やっぱりキスしたんだ」


「ごめん・・・あ、でも、美久だって、皆川とキスしたんだろ」


「あれは人工呼吸ですー」


「でも口と口だろ、俺はそれを目の前で見てたんだぞ」


「つらかったねー、千広く~ん」


「美久、からかうのもいい加減にしろよ。


あっ、慶先輩ともキスしたんだろ?」




忘れてた。


千広には、いつも言い負かされることを。



「ごめん、慶と・・・」




キスはしたよ、って言おうとした私の唇に、千広の唇が、重なった。



「もういいんだ、美久が俺だけ見ててくれれば」




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