私って悪女…

8月20日

お盆もすぎ、残暑が続く。
順はお灸を据えられても平気な顔で私に近づいてくる。
「円、9月1日は空いてる?」
「その日は予定があって…」
「信司とデート?それとも旅行?」
「えっ…」
何で順が知ってるの?
「俺と一緒に過ごそうよ」
「それは…」
「俺じゃいや?」
「嫌とかそう言う事じゃなくて…」
しつこい、どうかわそう…
「デートして、今日…」
「デッデート??」
「うん、しよ」
「出来ないよ、私には信司がいるし」
ストレートが一番。
「じゃあ、無理矢理連れ去るか」
体か宙を舞う。順に抱き上げられた。
「ちょ、ちょっと順!下ろして!!」
「やだ」
暴れてみるがびくともしない。
車に乗せられる。
「さあ、どこに行こうか」
車を走らせテレビ局を出る。
「順!仕事…」
「時間までには戻るよ、一時間だっけ?」
「とにかく、戻って」
「嫌だ!どうして俺を見てくれないんだ。出会ったのは俺が先だったのに」
「順…」
順ば泣いていた。悔しさからか寂しさからか…
「順、私は…」
「聞きたくない!俺の事好きにかるまで帰さない」
何も言えない。
「もっと冷静になって…」
「俺は冷静だよ」
「信司を裏切れないわ、私」
「じゃあ、信司を殺そうか、それとも怪我でもさせちゃう?」
「順、あなた本気でいってるの?」
急に順が怖くなった、正常じゃない…
「そうしないと、円を手に入れられないからね」
「…」
絶句した。
このままでは信司に危害が及ぶ。
「さあ、戻るか。円、俺との事考えてね」
テレビ局に戻ると、何もなかったかのように、順はスタジオに入った。
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