俺のこと、惚れさせるから
伊藤君は顔を歪ませ私を見た。
やっぱり、ね。
「試合、出たいんでしょ?とりあえずテーピングで固定しとくよ」
早速クルクルと巻きつける。
まだ間に合うかな。
そんなことを考えていると、突然伊藤君は話し始めた。
「…………俺さ、中学のとき、いじめられてたんだ」
予想もしていなかった言葉に驚いたが、私は黙って聞く。
「理由さえもわからないほど、いきなりだった。でもきっと、自分がなにかしたんだろうって思って耐え続けた。それに多分、俺はそいつを信じてたんだ。親友、だったから」