Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
どうしても行くという高城君と、
行かなくていいという私が、
電話を取り合って二人で揉めていた。


要領の得ない会話を打ち切るように、
高城君が電話を代わると言って、
私の手から取り上げた。


「これから、そっちへ向かいます。
近くになったらまた、
電話しますから」


彼は、電話を切って私に向き合った。


「そういう事だから、準備できた?」


「うん…」


「じゃ、行こう」


アパートの前に止めてあった車にのる。


いいところのお坊ちゃまなのに、
車は相当、年季のいったクラウンだ。


朱音にからかわれても、高城君は、
平気な顔で答える。


おじいちゃんのお古で、
すぐに新車を与えようとする両親に、
まずは、これに乗ってなさいと言われて
乗ってると言っていた。


この車で、買い物に行ったり、
海を見に行ったりした。


装備が何でも付いてて快適だ。

私は、彼のおじいちゃんに賛成だ。

高城君が、ヒーターをつけながら言う。

「春?寒くない?」

「うん」

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