Longing Love ～あなたに恋して、憧れて ～

「ちょっと、先輩、恩田先輩ってば」
会社について早々、
由貴ちゃんに声をかけられた。

「由貴ちゃん」

「私、前野係長に、
引越しのお手伝いに行きますって言ったら、
恩田さんがいるから、
必要ないって言われて…
それって、冗談ですよね？」

「ごめん、由貴ちゃん」

「だって、春妃さんナオさんが好きなのに」

「でも…」

「ナオさん、可哀想。
あんなにがんばってたのに」


「ナオが？」


「知らないんですか？
先輩のために。
私、ナオさんに写真とか、
疑わしいメールとか送ったから、
私、ナオさんとよく話したんですよ」


「そうだったの。
ナオの周りには、
自然と人が集まってくるのね」


「わかってないな。春妃さん、
どんなに周りに素敵な人が居たって、
ナオさんには、
春妃さんがいなきゃ、意味が無いんですよ。
わかりますか？」


「由貴ちゃん」


「あ、それから、これ。
私から春妃さんへ渡してくださいって」


『今日の夜、何時になってもいい。
アパートの前で待ってる』


ナオが由貴ちゃんにメールを送っていた。


「ナオったら…」


私は、すぐにナオに電話をかけた。



―春？春なのか？


「うん」


―電話してくれて、嬉しいよ。


「うん。でも、ナオ？
私、もうあのアパートには戻らない。
だから、待つのは止めて」


―どういうこと？


「私、久俊さんと一緒に暮らすの」


―春？どういうこと？意味が分からない…


「久俊さんのプロポーズ受けようと思う。
だから、私は、貴方とは一緒に居られない」


― 一方的すぎないか？そんな事、
ハイそうですかなんて、
言えるわけないだろう？


「ナオ？
あともう１度、会って下さい。
ケジメはキチンとつけるつもりです。
だから、部屋の前では待たないで」


ー春？本気なのか？おい、
ちょっと待てよ、切るな！