Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
バランス






春妃から返事? やっと来た。



喜んだのもつかの間、内容を見て、声をあげる。



よりによって昼かよ!



携帯に向かって悪態をつく。



出来れば、
今日のうちに会いたかった。




春から、やっとメールが返ってきた
と思ったのに。



やっぱり、避けられたかも。




明日のスケジュールを
もう一度確認しなきゃならない。



かなりタイトで、
詰める場所あるかなあといった感じ。
大きなため息。




今のとこ、全然想い通りには行っていない。
それどころか、
この間は、大失敗して

春に思いきり警戒された。





今更キスなんてして、
何するの!って顔だった。


確かに
ひどいキスだった…
春に言われるまでもなく。


初めてかってくらい余裕がなくてガチガチで、
力任せに相手を押さえつけて、最低だった。




今時の高校生だって、
あんなガチガチになるかよ。



みっともない。



腕が震えてた。
どうしていいのかわからなくて。




正直、キスであんなに
嫌がられたこと一度もないし。



春妃に逃げられるのが怖くて、
春の体をガッチリつかんだ。



唇が触れるようなキスで確かめるだけ。
それが精一杯で、
ちゃんとしたキスは出来なかった。



あの日は、春妃を呼び出して、
好きだって言う気持ち、伝えて
その後も、一緒に過ごすはずだった。



そんなの
簡単な事だと思ってたのに。



好き。好きだよ、なんて、
何度も言ってきた言葉じゃないか。
言葉なんかに特別な意味も込めないで使ってた。



でも、春妃に同じ言葉をかけると、
まるで違って聞こえる。



単純な言葉だけだと、そのまま言っても、
まったくの嘘にしか聞こえない。


くそっ。


今週、大阪行かなきゃいけない。
その前に一度、
どうしても、春に会っておきたい。


早いうちなら、
品川から新幹線に乗る前、春と会えるかも。


少し希望が持てる。



プロポーズって何だよ。春?
何ですぐに断らなかったの?




やり場のない感情がわいてきて
不用意にテーブルを叩いだ。


その勢いで、テーブルから
カップが落ちた。

床にこぼれたコーヒーをふき取る。

何やってるんだろう。



どうかしたのか?俺。




気分が悪くなりそう。
ほんとムカついて吐きそうだ。




春と人生を共にしたいだって?


そんなやつが他にもいただなんて。
しかも、実際に言葉にして春に伝えてる。




春のこと、そんな目で見るやつが、
春の会社に居るだなんて。





あいつの周り、
技術屋の男ばっかり、だって言うのに、
周りのやつと一緒に夜勤とか、
止めてくれって、叫びそうになる。




真剣に付き合ってる相手がいる?
そんなこと一言も聞いてないぞ。




しかも、その事を、春自身ではなく、
別に親しくない友人から、
聞かされるなんて。





「あーっもう、知るかよ!
春なんか名古屋でも、
アフリカでもどこでも行っちまえ。
ホンとイラつく!」

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