イジワル上司と秘密恋愛

旅館に荷物を置いてから近隣の観光ツアーが始まった。

リンドウやイヌセンブリの咲く花畑、珍しい野鳥や高山植物が見られる動植物園。そして地元の湧き水で作られる日本酒の蔵。

どれも楽しかったけれど、特に酒蔵では新酒の製造が始まっており、試飲させてもらった日本酒は驚くほど美味しくて、これをどうにかして『Cheers』の新作に活かせないかと、みんなで盛り上がってしまうぐらいだった。

途中からは二手に別れ、地元の伝統工芸品を見に行くグループと、新海さん発案の廃墟探索に行くグループとに別れた。

申し訳ないけれど、あまりオバケの類は得意ではないので、私は廃墟ツアーは遠慮させてもらう。

新海さん曰く「廃墟は恐いもんじゃないんだって。時を感じるロマンなんだよ」とのことらしいけど……ちょっと理解し難い。

結局、好奇心旺盛な数人を連れて新海さんは廃墟ツアーに行き、ほとんどのメンバーが伝統工芸のコースへと向かった。
 
< 199 / 239 >

この作品をシェア

pagetop