あたしをア・イ・シ・テ




「…」


奈々加の家の前に到着したものの、なんの音も聞こえてこない。

辺りは無音で、昼間だと言うのにシンとしていた。

唯翔は、無事かな…。


早く助けたいという気持ちの反面、怖いという感情があった。

これ以上に頭に刺激を加えたら、命がなくなる危険性もある。


それでも、踏み込むしかないけどね。


カチャ、となるべく静かに玄関の扉を開ける。

やっぱり物音一つ聞こえない。

…もしかして、ここにはいない?


だとしたら、居場所なんてわかりっこない。

でも玄関の鍵は開いていたからいる可能性はある。

車はなかったから、物音がしないことからしても家にはいないはず。


あたしはごくりと唾を飲み込み、階段を上がることにした。

なんとなく、部屋は二階な気がするし。


慎重に上がって、見てみると二階には部屋が3つあった。

一番奥にはプレートが掛かっていて、"NANAKA"と書いてある。


あそこだ。


心臓が破裂しそうなほどドキドキしてきた。

色んな感情がごちゃまぜになって、冷静さを保つので精一杯。

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