あたしをア・イ・シ・テ



イタズラだって思えばいいけど、なぜか俺は身体中から嫌な汗が吹き出していた。

奈々加がそんなことするわけねぇじゃん、アホらしい…。

頭ではそう思っててもなぜだか落ち着かなかった。

なぜ俺が奈々加を好きなことを知っているのか、そのことがより俺を不安にさせていた。

そのとき、クラスメートの川下が奈々加に近づいてきた。


「おい相沢、これホントか?」

ひらり、と俺の机の中に入っていたような紙切れを奈々加の前に出す。


「え、な、なにこれ?」

動揺したような声の奈々加の元に寄って、俺もその紙切れを見ると、


『相沢 奈々加はY先輩と密会している』


と書いてあった。

これじゃ、俺のところに入っていたものと合わせて考えたらY先輩って人を奈々加がとったってことだろ?


「俺の机の中に入ってたんだよ」


「え、ねぇ!あたしの机の中にもあったよ!」


バタバタと走って近づいてくる女子。

川下の声がでかかったから、教室中に聞こえたらしい。


「今度はなんだ?」

『あなたのクラスの相沢さんは浮気者』

「んだよこれ…」


奈々加は固まったまま、黙ってしまっている。


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