意地悪なオジサマに、拾われちゃいました。
「ああ、ごめんごめん。

でも熱がひいてからじゃないと
上着たくないんだよね」



京介はちっとも
申し訳なくなさそうに
あやまる。



「どきどきさせちゃった?」



京介は千尋の手から
包丁をとって
まな板の上に置き、

くるっと体ごと
自分の方に向かせて、
腕のなかに閉じこめる。



「どきどきなんて
まったくしてません。

自意識過剰なんじゃないですか」
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