鬼姫伝説Ⅲ



琉鬼さんはそれ以上のことは言わず、準備に行ってしまった。
快斗が持っていたものを預けると私のところにやってきた。


「少し、散歩する?」

「え・・・」

「見てみたいんじゃない?このあたりなら大丈夫だって言ってたからさ」




確かに見てみたい。
私は快斗についていく。

少し出るとすっかり森の奥で木が生い茂っている。





「ねぇ、さっき琉鬼さんがね、10年前に戦があったって言ってた」

「ふぅん」

「負けちゃったけど、鬼のお頭みたいなひとが治めてくれたんだって。どういう事だと思う?」

「・・・さあ。自分の命で、他のみんなを助けてもらうように頼んだとか?」

「え・・・」




わかんないけどね。そう言ってつづけた快斗の言葉。
でも、もしそうなら・・・。
凄いよね。
誰かを護るために、自分の命を犠牲にするなんて。
なかなかできる事じゃない。
でも、この時代ならそれが普通なのかな?



「怖いね」

「ああ」





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