鬼姫伝説Ⅲ



「おそらく、毒は体の自由を封じるためのもので、しばらくすれば抜けるだろう」

「・・・うん」

「もうしばらく、そうしていろ」

「・・・うん」




よかった。
鬼羅さんも、無事で。




「集落には、もう少し帰れそうにないからな」

「え・・・」

「大丈夫、戦いは終わってる。後始末が終わらないんだ」




後始末・・・。
皆は無事だろうか。
怪我をした人は、いないだろうか。


不安に瞳を揺らすと、鬼羅さんが気づいたように私の頭を撫でた。




「無茶をして。肝が冷えた」

「ふふ・・・ごめんなさい」




きっと、そうできたのは鬼羅さんがいたからだ。
鬼羅さんが、きっと助けてくれるって思ったから。






< 92 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop