クローバー♧ハート - 愛する者のために -

この幼稚園は園児の意見を尊重し、のびのびと育てる方針。

だから、ギスギスした感じがなく子供たちも楽しそうにしている。



「はるさ~ん」



園の入り口で、手を大きく振って私の名前を呼ぶ青年。

元気がいいのは良いけれど、ちょっと恥ずかしい。



「イチにぃだ。ハル、行こう」



悠がイチにぃと呼んだ青年は、幼稚園唯一の保父さん。

一ノ瀬 護(いちのせ まもる)、25歳。

園の先生の中で一番若くて、アイドル的存在。

分け隔てのない優しい笑顔と物腰の柔らかさで、お母さん達の間でも人気だ。

そして、ここを紹介してくれた恩人でもある。



「ぅわっ。悠、そんなに引っ張らないで。転んじゃうよ」

「平気だって。ほら、急いで」


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