羽ばたけなくて
素直
長かった夏休みも今日で終わる。

連日の熱帯夜が嘘のように、

今は秋を感じさせる風が吹いている。

これから木々が色づき始めるんだと実感させるその風が、

私はたまらなく好きだ。

街中を艶やかな色で染める紅葉が待ちきれない。

あれから美園と大志から連絡がないままだ。

雅也ともあんな別れ方をした日から、

また1通もメールは届いていない。

「またメールするから」

別れ際に言われたそれは一体いつ届くのだろう。

そう言えばあの時の雅也は、

私の知る彼とは違ってみえた気がする。

学校で見せる冷静で落ち着きのある姿ではなく、

情熱的で自分の感情をさらけ出しているように思えた。

でも、それはなぜだったんだろう。

< 315 / 401 >

この作品をシェア

pagetop