恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
そして、家に帰ってきた。

その夜。


「ねぇ、本当に良かったの」


「聖、どうしたんだ」


「だって、父さん、僕が行く前に色々
仕事仲間とか顧客の人とかに、話してたんでしょ」


「まぁ、けど、聖はそう言うの嫌がる、
だから、一人で片付けといた。

要にも手伝ってもらったしね」



あっ、カナ兄が出掛けた理由って、



「父さんに届け物っていってた、けど」


「要、そんなこと言って此方に来たんだね。
聖に心配しないようなそう言うこと
言ったんだと思うよ」



僕なんかの為に……。



「でも、僕が行く必要会ったの」


「一応、顔くらいは見せないとな、
ル・ビアンさんにも、その周りの人にも
それに俺も、ル・ビアンさん苦手だし」



そうだったんだ。



「人の可愛い息子を口説いてんじゃねぇ
って思ってさ、あと、聖が怖いと思った
人とは会わなくて良いって言ったしな。

今日以降、ル・ビアンさんと会う必要はない」


「それでいいの」


「あぁ、聖が大切だしな」


こうして、ちゃんと愛されている。

そう感じられる、家族がいる。

昔の僕が知らなかった、感情と色。

嬉しくてたまらなかった。


「そっか、じゃあ、お休み」


「お休み、聖」


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