恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
その夜、お祭りに行くことになった。


いつもの店で浴衣をレンタルした。


幸来ちゃん、まだかな。


「何やってんだよ」


「ぅん、幸来ちゃん、待ってる」


「浴衣美女をか」


「いっくん、おじさんくさいよ」


「誰がおじさんだ」


リンゴ飴、食べたい。


「やっぱり、浴衣はいいなぁ」


「親父もいたのかよ」


「和風美人がそこかしこにいる」


「それは、そうだけど」


「こういうときしか着る機会もないし、
見る機会もないからな」


やっぱり、この親子似た者同士だよなぁ。


「あ、あの、一人ですか?」


何故か、女の人に声をかけられた。


「それだったら、私達とお祭り一緒に
どうですか?」


「あの、連れを待っているだけなので」


「えー、残念」


逆ナンと言うやつなのかな。


「聖君、どうしたの?」


そこには、浴衣を着こなした。

幸来ちゃんがいた。


「幸来ちゃん、綺麗だね。
黒髪が浴衣に映えててとっても綺麗」


「ありがとう。
聖君も浴衣似合ってるね」


周りの視線が何か痛い。


「郁磨さん、私はどうですか?」


「雫ちゃん、可愛いよ」


「本当ですか! 嬉しい。
郁磨さんは、格好いいですね。
似合ってます」



「航君、どう?」


「小百合は、何着ても似合うんだな。
綺麗だよ」


「ありがとう。
航君も、似合ってるよ」


って、あれ、父さんとカナ兄は?

あっ、いた。


「あの、御二人とも私達と一緒に」


「私達とですよね」


「私とですよ」


何やら、囲まれてる。


「相変わらず、政樹もモテるなぁ。
要君も、女の影が無いのも不思議な
くらいだ」


「航君、助けなくていいの?」


「大丈夫だろ」



「あれ、本当に大丈夫なの」


「うん、いつものことだから、
それより幸来ちゃん、リンゴ飴の屋台
探そう」


「どうして」


「リンゴ飴、美味しいでしょ」


「聖君が食べたいだけ」


「うん、あっ、後、チョコバナナと
かき氷とあんず飴と綿飴とポップコーンと

あと、輪投げと射的でお菓子取ろう」


「全部、甘いもの。
そんなに食べて大丈夫」


「大丈夫だよ、全部制覇だよ」


「じゃあ行こうか」


「幸来ちゃん、手、繋ごう」


「う、うん」


「よし、行こう」




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