恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
その後、色々まわった。

雫ちゃんは、とても楽しそうに笑っていた

それを見ているこっちまでもが、笑顔に
なれた、自然に笑えた。




ベンチで少し休憩をすることになった。


「本当に楽しかったです。
私、この高校絶対に受かりたいです」


「それなら、良かった」


聞いてみようかな、今なら聞けるかも
しれない。


「ねぇ、雫ちゃんは俺なんかの。
どこがいいの」


「えっ、いきなり、にゃして」


「盛大に噛んだね。
まぁ、俺は自分に自信がないからかな」


何を話してるんだ、俺は……。


「それは……」


「好奇心、興味とか、理想だからとか、
色々理由はあるでしょ」


「もちろん、好きです。
それに郁磨さん、格好いいですし」


「俺の何をしてるんだ」


「えっ」


結局は、雫ちゃんも俺に理想を
追い求めるのか。


「郁磨さん、どうしたんですか?」


「雫ちゃん、俺はそんな出来た人間
じゃないから」


「郁磨さん、怖いですよ」


「どうせ、理想とか押し付けるんでしょ
私のイメージがとか違うって言って、
捨てるんでしょ。

格好いいからって言って付き合って、
見かけ倒しだとか振るんでしょ。

前髪少し切ったくらいできずかないと
鈍いとか言うんでしょ」


やめろ、やめろ、俺は何を……。


「俺に、理想押し付けてそぐわないと
暴言吐くんでしょ。

俺は、どっかの王子じゃない。
理想を現実に追い求めんな」


はぁ、はぁ、はぁ。

俺は、何してるだ、こんなところで
大声だして、本当に何やってんだよ。


「い、郁磨、さん、ごめん、ヒック、ヒック、
さない、ごめん、ヒックなさい」


雫ちゃんを泣かしてしまった。

何も悪くないのに、本当馬鹿だ。


「雫ちゃん、ごめん、大声だして、
何か、駄目だな俺……」


「ごめんなさい、ビックリしちゃって」


「いや、全部俺が悪い」


俺はこんななんだ。

カッコ悪い、情けない男なんだ。


「郁磨さん、でも、好きなんです。
郁磨さんの事がただただ好きなんです。

郁磨さんの笑顔が、声や話し方、仕草とか
意地悪な所も人に頼られると断れない所も

全部…、郁磨さんの全部が好きなんです。

郁磨さんだから、好きになったんです」


< 59 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop