恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
そして、あっという間。


クリスマスパーティーの日がやって来た。


パーティーが始まるなり、
沢山の人に話しかけられた。

絵の販売も同時進行された。


幸来ちゃんと話す暇は無かった。


やっと、一段落付いたのは、パーティーが
始まって、三時間後のことだった。


僕には、一つ心配事があった。

勿論、幸来ちゃんのこと。


誰かに、変なことをされていないか。
心配で仕方なかった。


会場を探すと、幸来ちゃんの周りには
少し人だかりが出来ていた。


「幸来ちゃん」


「あっ、聖君」



『おっ、王子様の登場だ』


『聖君もいい人を見つけたじゃないか』


『本当にいい子ね』


数人のおじ様やおば様と話していたみたい
だった。


「どういうこと、ですか」


「少しお話してたの」



 
『話って言うものじゃない。
愚痴聞きだ、あんなもの』


「そうですか、結構楽しかったですよ。

色々な苦労をなされても、遣り甲斐が
あるから、仕事が止められない。

そういう風に聞こえましたよ」


『そうか。
また、お嬢ちゃんに会いたいね』


「はい、私もです」


『さて、老いぼれはさっさと退散だ。
若い者の邪魔をしちゃいかん』


『そうですな』


『若い者の恋路を邪魔してはいけませんね』


そういって、皆、去っていった。


「幸来ちゃん、凄いね。
皆に直ぐ好かれちゃうなんて」


「そう、沢山お話を聞いてただけだよ。
自分が経験しないと愚痴は出てこない。

一生懸命だから、出てくる言葉なんだよ」


やっぱり、幸来ちゃん、凄い。


「幸来ちゃんのそう言うところ、大好き」


「な、なに言ってるの。
不意打ちは駄目です」


「大好きだよ、幸来ちゃん」


顔も耳も真っ赤だ。


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