ある街の空
月曜日
遠くからアラームがなる。
なんだよー、今、いい所なんだから。やっと、ライブが始まるんだよ。半年待ってたんだよ。お願いだから見せてよ。

ギターのノイズが鳴り響き、大歓声が起きた瞬間。

「ちっ、もう少しだったのに。」

莉菜は目覚めた。

非常ベルみたいな音を発する目覚まし時計は莉菜の大学時代からの相棒だ。社会人5年目になる今も使っている。母親以外に莉菜を夢の世界から引きずり出せる唯一の代物だ。

「また月曜日か。会議重いなー。」

先週買ったばかりの寝間着用のネコ柄のTシャツを脱ぎ捨て、顔を洗いに行く。

「うっわ、くま最悪。」

鏡に映る自分の顔を眺め、一礼。自分に挨拶をする。これは莉菜の昔からのくせ。

コーヒー用にお湯を沸かしている間、スーツに着替える。

「もう少しでケンの超絶ギターが見れたのに。」

ぶつぶつ一人で夢の中の話をしている。莉菜が半年前にチケット抽選から外れたロックバンド、カルスのライブに行く夢を見ていた。カルスはあまり趣味の無い莉菜の唯一の趣味と言っていいぐらい好きなバンド。しかし、最近人気が出てきてなかなかライブのチケットが手に入り難くなっている。

出勤の支度を終わらせ、誰もいないワンルームの部屋に言ってきますを言う。

月曜日の1日が始まる。





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