寵愛の姫 Ⅰ【完】





「―――大丈夫だ。」




私の頭に乗せられる天野さんの大きな手。




「タオルなら、バイクに置いてある。それなら、濡れても大丈夫だろう?」


「…でも…。」




渋る私に天野さんが微笑んだ。




「初めて莉茉は海に来たんだろ?」


「…はい。」


「なら、楽しもうぜ。」


「……。」




優しく笑う天野さんに、私はこくりと頷いていた。
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