Dilemma
プロローグ・不時に舞う夢


私とあなたが初めて出会ったのは、桜が散り終わったあとの春の日だった。


東京都某所 私立紫ノ宮学園女子高等学校

それが私の新たな転校先だった。


「へぇ―すっごいなー…」

見渡す限り、溢れるように咲く花。
そして背後には大きな校舎。

一人、誰もいない中庭を歩く。

久堂愛梨 新高校二年生

顔は普通(だと信じている)。
頭も普通(多分)。
そんな凡人の私が事件を起こしたのは、一年生のときだった。



「うーん…校門ってどっちだったっけな」

転校初日。その日、一人で学校見学をしていた私は、そろそろ帰ろうとしていた。


今、考えてみれば。
この時、だったのだと思う。

このあとの数十年間、つまり私の人生を決定付けることとなったのは。



「こっちが確か校門だったと思うんだけどなぁ。」

独り言を呟きながら、屏に沿って校門を探していた。

「…ん?あったあったあれだ。正門…」

その時


ひゅんっ
べしっ

「がほっ!?」

一瞬、何が起こったのか解らなかった。

鞄が顔に飛んできたのだ(何が起こったのか分かってんじゃねーか)。


しかし、そんな思考も追い付かないまま、私はそのまま地面へと倒れた。


倒れる瞬間に思ったのは

あ、これあかんヤツや。

だった。

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