Dilemma
ネクタイをきちんと結びながら、志暢はグチグチと文句を言う。


「ったく毎回毎回勘弁してくれよチェック。お前はお母さんか?」


「あたしは風紀委員長よ!」


「知ってるわ!そういう意味じゃねぇよ。大体私以外にも服装違反してる奴なんかいっぱいいるだろ?ちーちるえりざべすとかさ」


「もちろん注意してるわよ!でもあの二人脱いだら死んじゃうんですって!だからこれ以上あたしは何も言えないのよ!」


「じゃああたしも服装正したら死んじまうんだ。」


「嘘つけ!あなたの目、濁ってるもの!」


「あいつらの目だって濁ってたっつーの。…ほらこれでいいか?」


喋ってる間にネクタイを結び、服装を正した志暢はチェックに訊く。


「えぇOKよ!これからもその調子で頑張ってね!」


「おぉ、お前はもうちょっと軟らかくなったほうがいいよ。」


「…さもないと」





「あ?」



志暢は立ち止まって振り向く。



「…生徒会執行部に目をつけられてしまう」



それは警告か否か。
志暢はそれがどういう意味を表すのか、あまりよくわからなかった。



< 73 / 115 >

この作品をシェア

pagetop