もっと、君に恋していいですか?
射抜くような敦のまなざしに捕らわれ、身動きも取れない薫の顔に、敦がゆっくりと顔を近付けた。

「いやっ…!!やめて…下さい…。」

薫は慌てて顔をそむけ、声を絞り出した。

小さく震える薫の肩からゆっくりと手を離した敦は、腕を引いて薫の体を起こした。

「怖がらせちゃった。いくら好きでも、こんな事、無理やりじゃ意味ないよね。」

敦は缶に残っていたビールを飲み干して、2本の缶ビールが入ったコンビニのビニール袋を、まだ少し震えている薫の手に握らせた。

「ごめんね。もう薫ちゃんを怖がらせるような事しないから。お詫びと言っちゃなんだけど、これあげる。おやすみ。」

敦が部屋を出て、ドアがゆっくりと閉まった。

薫はコンビニの袋を握りしめた手を呆然と見つめた。

(怖かった……。あんな事されるなんて…。)



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