懲りもせず、恋する私

answer 2

いつもと変わらない朝がやってきた。

課内に入って来る社員たち。

カバンをデスクの下に置き、
椅子に座る。

パソコンを開き
メールボックスの確認をして
次の企画の作成の為
フォルダーを開いた。

コンセプトは、
ー恋のマジックー
キスしたくなる誘惑の唇



臆病な女の子の背中を押してあげる
そんなアイテムにできたら。


ベビーピンクのルージュ。
ベビーオレンジのルージュ。
唇の温度で色が発色する仕掛け。
グロスは、それぞれ
つけると甘い香りを放つ。仕掛け。

「ふふ…。良いかも」自己満足モード

「佐伯さん〜!3番に試験室かです!」

私は…目の前の電話を取り
内線3番を押した。
「はい、佐伯です。」
「つぐみちゃん?頼まれてたやつ出来たよ。」
試験室の研究員をしている
安川さんからだった。
「安さん!ありがとう!
今から行きます」
「つぐみちゃん。販売の坂野課長が
隣にいるの。代わるね」

「つぐみちゃん?早くおいで。ヤバいよ
いい線いってる。」

「わかりました。はい!」

カタンと椅子から立ち上がり、
スタスタっと藤倉課長の元へ。

「課長。席外します。試験室に行ってくるので何かあれば内線に連絡してください」
「あっ、わかった。あっ佐伯。ちよっと
いいか?」

仕切りのある
デスクに呼ばれるた。

ぐっと腕を掴まれ引かれた。
「なぁ?試験室って、さっき、シュウが
向かったけど、なんでお前まで?」

「いや〜。あの…ですね…。新作の試供品を今、制作中で…様子を見に…」

急に声を大きくして
翼は、
「ああ、その件か。なら、俺もいくよ」
わざとらしい理由。
「おい!悪いが少し席外すから、
用があれば内線に連絡してくれ!」

「ちよっと!課長!」
手を強く引かれエレベーターで
B1を押す翼。



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