真実の愛のカケラ
「もう行っちゃうよー」


その女性社員は福井さんを連れていこうとする。


「なんでお前、今日そんなにハイテンションなんだよ」


「えー?
普通だよ」


彼女が照れたような笑顔を浮かべたとき、私の中に電気が走った。
待って。
エレベーターに向かう2人の背中を見ながら私の体は固まった。


何も言葉がでない口に代わって、頭の中はこれでもかというほど騒がしい。


あの女、どこかで見たよね?
どこかでって、わかってるでしょ?
あの写真の女じゃん。
福井さんと一緒にいるってことは、社員で間違いないよね?
あの女が副社長と一緒にいた女?
じゃあ、なんでこの会社にいるの?
まさかあの女が副社長の彼女?
まさかまさか。


彼女が通り過ぎた後に漂ったこの香り。
さっき副社長がまとってたものと同じ。
これってシャンプーかなんか?
まさか朝まで一緒だったの?
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