真実の愛のカケラ
「だったらあの時、何て言って私をフッたかも覚えてますよね?」


「会社の人間とは付き合えない、だな」


さらっと私をドン底に突き落とした言葉を再び、目の前で、悪びれる様子もなく言った。


「それ、自分で言ってて矛盾してると思いませんか?」


「矛盾?」


しらばっくれる気?
こっちは全部知ってるんだから。


「副社長は…。
調査部の宮野柚希さんと付き合ってますよね?
彼女は、れっきとしたこの会社の人間だと思いますけど」


宮野柚希の名前を出した瞬間、驚いたような焦ったような表情になった。
しかし、すぐにいつものクールな表情に戻る。


「どこで知ったのかは知らないが、否定はしない。
たしかに宮野さんと付き合ってる」


…う。
こんなにもあっさりと認めるとは予想外だ。
ばらされてもいいの?
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