真実の愛のカケラ
なんだよこれ。
どういうことだよ。
何の冗談だ…?


会社を辞めるつもりか?
今日1日で何があった?


退職届片手に俺は呆然とした。
俺に何の相談も無しにこんなことするか?
いや、しないんじゃなくてできなかったのか…?


ポケットで携帯が震えた。
柚希かと期待し急いで取り出したが、相手は父さん。


「…はい」


「もう会社に戻って来てるんだろ?
話があるから社長室に来なさい。
会長も来てる」


…そういうことか。
なんとなくだけど状況が把握できつつあった。
これは、最悪のシナリオが書き始められたかもしれない。


退職届は取り敢えず俺が預かっておこう。
内ポケットにしまって、足早に社長室に向かった。



冷静でいるようで今の俺は冷静さを失っていた。
このままだとこの手から本当に柚希が離れていってしまう。
現実に今、こぼれ落ちていっている。
それが、こんなに怖さを伴うものだとは思ってなかった。
< 181 / 240 >

この作品をシェア

pagetop