君が風邪を引いたら
甘々看病……?
「風邪、大丈夫!?」

 合鍵を渡している彼氏、佐々木蒼介(ささきそうすけ)が家に来た。
 靴を脱いでバタバタと、部屋のなかへ入ってくる。

 ちょっと天然パーマの入った、くりんくりんの柔らかな髪、可愛らしい外見の童顔くんだ。
 付き合い始めてから初めて寝込んだわたしを、心配して様子を見に来てくれたみたい。
 ひとりきりでひたすら横になっているのを心細いと感じ始めていたところだったので、蒼介の存在で部屋が明るくなったことが嬉しかった。

「風邪引いてるなら引いてるって早くいってよ。大学なんか行かないで看病したのにさ」

 がさがさとビニール袋をテーブルに置いて、ベッドのわたしの顔をのぞき込む。
 心配そうな瞳と目が合った。

「迷惑かけたくなかったから。でも、来てくれて嬉しい。ありがとう」

 優しさが心に沁みた。心配して来てくれるくらい思われていることが、嬉しかった。
 わたしのおでこにそっと乗せられる、彼の大きな手がひんやり冷たい。気持ちがよくて、思わず目を閉じる。

「熱いよ」

「うん、さっき測ったらまだ熱があった。でも、午前中のうちになんとか病院には行ったんだ。貰った薬飲んで少し寝たら、体の痛みは引いてきたんだけど」

「なんだ。いってくれたら俺、付いてったのに。そりゃ、ひとりで行けたなら、それでいいけど。でも、熱あるのに心配じゃん? もっと頼ってくれてもさ……まぁいいや。あとは大人しく休んで、ちゃんと食べて。俺、看病するから! そうそう、コンビニ寄って色々買ってきたんだよ」
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