麗雪神話~幻の水辺の告白~
第三章 言えない言葉

街をひた駆けている最中も、拠点としている廃屋に帰りついてからも、セレイアとディセルの二人はずっと無言だった。

作戦の失敗。大失敗。

それが、二人に衝撃を与えていた。

プミラだけそこにいて、共に先に帰っているはずの、サラマスの姿もない。

何かあったのかもしれない。

ヴェインの居場所も知ることができず、四人がばらばらになってしまうなど、予想だにしなかったことだ。

サラマスは、シルフェは、無事だろうか。

そう思うといてもたってもいられなくなって、セレイアはがばりと顔を上げた。

「ねえディセル、やっぱり王宮に戻って――――」

「今はだめだよセレイア。俺たちまで捕まるだけだ」

ディセルは冷静だ。

「二人はきっと、無事でここに帰ってくるよ。今は待とう。へたに動いてこの拠点のことを知られてしまったら、それこそ大変なんだから」

「……そう、ね」

二人は神だ。

人間相手に後れをとるとは思えない。
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