麗雪神話~幻の水辺の告白~
海の青の髪。

優しげな水色の瞳。

彼女のことを思い浮かべるだけで、焦がれるような切ない気持ちになる。

ずっと前からの、報われぬ片思いだった。

なぜならディーネリアの目には、最初から雷の神サンディオスしかはいっていなかったからだ。想いを自覚した時にはすでに二人は恋人同士だった。

それでも自分は想いを引きずっているから…だからきっと、人間界におりて飛天の能力者をさがし、守ってほしいという彼女の願いを、聞き入れてしまったのだろう。

(必ず飛天の能力者を見つけて見せます。ディーネ様、あなたのために)

たとえこの想いが報われぬものでも。

サラマスが決意を胸に目を閉じた時、遠くから複数の足音が聞こえてきた。

足音は暗い通路に反響し、どんどんこちらへと近づいてくる。

誰かの尋問でもするのだろうか。

なんとなく直感した。自分のところに来るかもしれないと。その時のために、サラマスはどっかりとあぐらをかいて通路の先を見据えた。弱々しいところを見せたらだめだ。ここは焦りを感じさせず、堂々としていないと。

彼の予感は的中した。

足音はすぐそばまで近づき、ぞろぞろとした一団が姿を現して、サラマスの牢の前で足を止めた。
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