本当のわたし
「夏休みはさ、水着を持ってみんな海に行ってそれからお祭りも行きたいよなぁ〜。ここら辺って祭りやってんの?」

「うん。学校から少し離れたところの神社でお祭りやってるよ。」

「楽しみだな!みんなで行こうな!」

俺がそう言うと三木は楽しそうに頷いてくれた。さっきまで暗かった三木はどこにもいない。

「「ありがとうございました!!」」

タクシー運転手さんにお金を払ってお礼を言ってタクシーを降りると三木は楽しそうに走り出す。

「海だー!!」

「三木、走ると危ないぞ!」

「大丈夫だよー!」

「すごーい!夕陽が綺麗だ!」

そう言って目を瞑った三木がとても綺麗だと思う。それはきっと三木の容姿が整っているからではなく、三木の心から滲み出る優しさだ。

三木と夕陽を見ながら海辺を散歩する。
夕陽を見るとやっぱり思い出す陸斗の事。
夏休みになれば会える。早く会いたいなぁ。
なんて柄にもない事を考えながらふと三木を見るとなんだか難しそうな顔をしていた。

心配になって声をかけようとした瞬間

「いやだああああ!まだ帰りたくない!」

どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきた。
まさかと思い顔を前に向けるとそこには陸斗にどことなく似ている男の子と悲しそうな目をしている三木さんがいた。

俺は思わず立ち止まりその男の子の名前を呼んだ。

「彼方(かなた)…?」

「お兄ちゃんー!!!」

「お兄ちゃん!会いたかったよ!それにこっちの可愛いお姉さんはだあれ?」

すると彼方は勢いよく俺に抱きついてきて、隣で凄く困惑している三木に目を向けた。

「あ、美月お姉ちゃんだよ。」

正直、俺自身も困惑していて隣にいる三木のことを忘れかけていた。
彼方を抱き上げながらそう答えると三木はニコと笑い彼方に自己紹介をした。

「初めまして。お兄ちゃんの友達の三木美月です。」

人懐っこいところがある彼方は三木のことが気に入った様子。久しぶりに見る大きくなった弟を見ていると三木さんが俺に声をかけた。

「優希くん。」

「三木さん」
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