本当のわたし
「帰るよ、彼方」

そう三木さんが彼方に声をかけて三木さんたちは帰って行った。

最後に彼方ともう少ししたら帰るという約束をして。

「驚かせてごめんね。」

「え?全然大丈夫だよ!」

三木にそう声をかけると優しくそう答えてくれた。

「ちょっとだけ歩こうか」

俺はどう切り出して良いのかわからなかった。どこから話して良いのかも正直わからなかった。文化祭の後に遊んだ様子からして陸斗の事を知っているようだったから陸斗と俺の関係は伏せた方良いと思うし。

三木に目をやると相変わらず綺麗な顔で海と空を交互に見ていた。何も聞いてこないのはきっと三木の優しいさなんだと思う。

今日は誰かの優しさに甘えてばかりだな。

「三木はさやっぱり優しいよな。なにも聞かないんだな」

「なっちゃんは聞いてほしいの?聞いてほしいなら聞くけど」

「そうだなぁ〜。今日はちょっとだけ聞いてほしいかも。」

「じゃあ聞くよ!」

「ありがとう。」

何故だろうか。人にあまり話したいとはいつもは思わないのに三木には聞いてほしいと思うんだ。他の誰でもない、三木に聞いてほしい。

歩きながら話すのは今の三木には良くないと思ったので近くの階段まで歩きそこに座る。

ちょっとずつ俺の話をする。
「俺ね、三木優希が本当の名前なんだ。」

「うん、知ってた。ごめんね、今日倒れる前になっちゃんのテスト用紙の名前見えちゃってさ…」

三木の言葉に驚いた。
三木の本名を知ってしまった事への後ろめたさを感じていたけど、これでお互い様だな。
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