【完】幼なじみのあいつ
ゆらゆら揺れる感覚に、瞳をうっすらと開けてゆく。
あれ?
ここはどこだっけ?
眩しい光に一瞬、目を瞑りそしてまたゆっくりと開けていった。
うわっ!
びっくりした!!!
目を開けるとそこには、亮ちゃんのドアップ。
ありまに驚いて、身体がビクッと震えた。
あれ?
ここは?
辺りを見回すと、目の前には大自然と川が流れているのが見えた。
もしかして私、寝てた?
船はいつの間にか着船場に着いていて、周りにいる皆は席を立ち始めているところだった。
「もう着いたぞ」
まだ寝ぼけ眼でいる私の手を握り、亮ちゃんが立たせてくれた。
起きたばかりの私の足取りは覚束なかったけど、それでも亮ちゃんが私の腰に手を回し支えてくれたおかげで何とかクラスのみんなについていく事が出来た。
「ありがとう、亮ちゃん」
お礼を言うと、亮ちゃんが私に笑みを向けてくれた。
歩きながら、今までの事を振り返ってみる。
私って結構、亮ちゃんには助けられてたんだよね…。
あ!
そういえば亮ちゃんによく助けられているのに、私からは亮ちゃんに何もしてあげていない。
ついでとばかりに幼い頃も思い出してみたが、やっぱり私は亮ちゃんに何もしていなかった事に気付く。
顔が真っ青になってしまった。
私、亮ちゃんに助けられてばかりで何もして上げてないじゃん!
これじゃぁ、ダメだよね…と考えて力コブを作った。
よしっ!
今まで亮ちゃんに何もして上げなかった分、これからは亮ちゃんの為に一生懸命頑張ろう!
そう心に誓ったはいいけど、亮ちゃんをどう助ければいいの?
…人の為に何かをするって、難しいね。
それを自然に出来る亮ちゃんって、さすがだなって改めて思ってしまった。