ポチ。
僕は周りを見回した。
ポチがいない。
どこにいるんだ
「おい、ポチどこにいる?」
虚しく響く声。
一瞬、ポチが来る前を思い出した。
誰の声もしない。
生活感の無いモノクロの部屋。
ポチが来てからは色づいたこの部屋。
次第に現実に引き戻される。
「ポチ、、どこにいるの?」
トイレ、キッチン、布団の中、いるはずのないデスクの引き出し。
ポチはいない。
目に入ったのはポチの大きさ程に開いた窓だった。