願いは叶う
私は、悪霊たちの中心に飛び込んで、果物ナイフを振り回した。


果物ナイフは、確実に当たっているはずなのに、私が持っている果物ナイフには、何の衝撃も伝わってこないで、悪霊たちの体をすり抜けた。


部屋中に悪霊たちの笑い声が響いた。


ケタケタと、ゲラゲラと、クスクスと……。


その笑い声のすべてが、私を馬鹿にしていて、私はそのことが許せなかった。


〈 頼むから、消えない!

死になさい!

いなくなりなさい! 〉


私が振り回す果物ナイフが、何度も何度も悪霊たちの体をすり抜けていった。


私は必死だった。


私は、私の未来にあってはならないものを取り除きたかった。


私が息を切らし、大粒の汗を拭い、体力もつきかけたとき、悪霊たちは笑い声を部屋の中に残し、フッと私の前から姿を消した。
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