君がメガネを外す時・番外編~結衣ちゃんの恋~





「僕と付き合うと、もれなく美織がついてくるよ。それでもいい?」

ふたりでぷっと笑いあう。

「大丈夫。美織の扱いなんて慣れたものだよ」

「わがままだし、とんでもないことするし」

「でも、すごくいい子!」

ふたりで声を合わせる。

「結衣、そろそろ帰ろう。寒くなってきた」

「うん」



はい、と差し出されたその手は、遠いあの日とは比べ物にならないくらい大きくて。


握り返すととてもあたたかくて。


「美織と洸太が心配してたよ。家で待ってるから、ココアでも一緒に飲もう」


「悠兄の作るココア、大好き」


風は冷たいけれど、握った手と、心はポカポカとあたたかかった。


「悠兄、また一緒に星、見に来ようね」

「そうだね」




いつのまにか顔を出した月が、川面にきらきらとその姿を照らしだしていた。





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