8月の雪



「祐〜美紗が呼んでるぞー
日直の仕事手伝えって…
っと、栞先輩もいましたか…」


教室の窓から苦笑いを浮かべながら、
俺に早く来い
と手招きをする。


「じゃあ悪い、また今度な」

「はいはい。
祐、愛してるわよ」


ひきつった笑顔で彼女の投げキッスを受け取ると、
足早に教室に向かった。



“愛してる”



なんて、今じゃ日常の挨拶みたいになっている。


それでも最初は、愛を感じていたが、

さすがに毎日言われていると、
何とも思わなくなる。



俺はそれだけ、
愛に飢えていた。




穂高 祐《ホダカ タスク》




高校二年の夏、



この町で君と出逢った。




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