モンスター・バスターズ


馬から降りて、辺りを見渡す。


「ナギ…」


背の高い草が生い茂っているが、人が立っているくらいは認識できるはず。


「なぜ、いない…」


所長が唖然とした様子でつぶやいた。


その通りだ__________


そこには数分前までには居たはずのナギも魔物も、ナギの愛馬も居なかった。


「探せ!なにか手掛かりになるものを!


なんでもいい!髪の毛一本見逃すな!」


所長は応援部隊に向かって叫んだ。


顔には不安と焦りの色を浮かべている。


それもそうだろう。


モンバスNo.1の戦士が魔力の高い魔物と一人で戦い、応援に来たら消えていたのだから。


ナギは所長に取って娘のようなもの。


とても心配なのだろう。


私の…せい、かな…。


私は唇をぎゅっと噛み締めた。


私があそこで一緒に戦うことを選んでいたら…。


今ごろナギは…。


「サキ、何してるんだい。


早くお前も探しなさい」


所長の声にハッと顔を上げる。


「お前のせいじゃない。これはお前の責任じゃないさ。


気にすることない。ナギサならきっと大丈夫だから」


そう言って所長は笑った。

< 20 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop