空っぽのイヤホン(仮)
一目惚れをした。初恋だった。



お昼休みの屋上は、いつも私だけ。

空を独り占めできるこの場所が大好きで
なんだか誰にも教えたくない秘密基地のような、そんな場所。


時折太陽が反射するプールサイドを見下ろして、音楽を聴いた。

夏の恋の歌。

私のお気に入りの歌。

私はひねくれているのか、自分の好きなものは独り占めしたい。

いつか共有したい人が現れるのかな、と考えたことはないわけじゃないけど

そんな人、作っちゃいけないと知っていた。


それなのに、




高校3年生の夏、誰にも言えない秘密を抱えた私は、恋をしてしまった。
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