愛に結ばれた蝶







僕は病院へ戻り

杏璃を診てくれた医者に全て伝えた

家に借金があり

母親は病気で働けなくて

杏璃を入院させたりするお金などないと




『他に親戚はいないのかい?』


『いません…

父親は行方不明ですし
親戚や祖父母がいるなんてこと
聞いたことありません』


『そうか…
キミは今いくつだい?』


『7歳
小学2年生です』


『まだ7歳なのか…
そんな小さいのに妹のお世話や
お母さんを助けたりしているんだね

キミに免じて
入院費や医療費は
キミが働けるようになるまで
ワタシが払おう』


『良いんですか…?』


『ああ
医者が患者を見捨てることは
出来ないからね

ただし
キミが働けるようになるまでだ
それからはキミが払うんだよ』


『はい!』





僕は初めてそこで泣いた

今までずっと泣けなかったから

医者はずっと僕の傍にいてくれた









< 142 / 179 >

この作品をシェア

pagetop